設立内容(基本事項) 会社設立時に決めること
▷ 役 員
株式会社と合同会社では「役員」の定義が異なりますので、それぞれに分けて説明いたします。
株式会社の役員
会社法で規定される役員は、代表取締役、取締役、社外取締役、代表執行役、執行役、監査役、社外監査役、会計参与などです。
役員は会社の実質的な所有者である社員や株主に限定されず、社外取締役や社外監査役のように会社の外部に役員を置くことで会社を内外から適切に経営していくことが可能な体制を構成できるようになっています。
なお、会長、社長、副社長、専務、常務、相談役、顧問など、一般的に使われている役職は、会社法に規定されている役員の役職ではありません。
役員は1名だけでも設立できます。
代表取締役は1名以上何名でも可。
法人が代表取締役や取締役などの役員になることはできません。
(法人が株主になることは可。)
役員の任期は最長10年です。(株式の譲渡制限のある非公開会社の場合)
役員が1名で今後も増やす予定がない、身内だけで役員を構成するなどの場合は、任期を10年にしても問題ないかと思います。
一方で、役員に第三者を就任させる場合は注意が必要です。
取締役を任期の途中で解任しようとした場合、解任するには正当な理由が必要となります。犯罪を犯した等であれば正当な解任理由となり得ますが、経営方針の相違などで、無理やり解任をしてしまうと、その取締役から任期満了までの残存期間に得られる役員報酬分などを損害賠償請求される可能性もあります。
合同会社の役員
合同会社の役員とは、資本金の出資者をいい、会社法では「社員」と呼びます。(社員といっても世間一般でいう「従業員」のことではありません。)
出資者全員が役員となり、定款では社員と称します。
つまり、合同会社では、出資者=役員=社員 はイコールです。
役員(=出資者=社員)は業務執行権(会社を経営する権利)と代表権(会社を代表する権利)を持ちます。
出資者が複数いる場合、全員に業務執行権と代表権があるため、対外的に混乱したり、業務に支障をきたすことが多いので、 定款で業務執行社員(取締役のような立場)と代表社員(代表取締役のような立場)になる者を決めておきます。
定款で業務執行社員を定めた場合、業務執行社員だけで業務を執行することになります。ただし、その他の社員には業務執行社員の業務や、会社の財産の状況を調査する権利、いわば監視する権利が与えられます。
役員1名(つまり出資者1名)だけでも設立できます。
上限はありません。
資格制限もなく、未成年者や法人でも役員になれます(未成年者が社員になる場合は保護者の同意が必要です)。ただし、15歳未満は印鑑登録ができないため、たとえ保護者の同意が得られたとしても役員にはなれません。
役員(=出資者=社員)全員一人一票の議決権を持つ
株式会社の場合は、出資した金額に応じて議決権が与えられますが、合同会社の場合は「どれだけ多額の出資をしても、一人一票の議決権」となります。
- 定款の変更
- 社員(出資者)の加入
- 業務執行社員の選出
会社にとっての重要事項に関する決議は「出資者全員の同意」が原則になりますし、会社の経営に関する意思決定は原則として「出資者全員の過半数の同意」により行うものとされています。(業務執行社員を選任している場合は、業務執行社員の過半数で決めることになります。)
よって、社員2名の合同会社で意見が割れてしまうと、日常の業務執行に関して支障が出てきてしまいます。
合同会社は「人的会社」と呼ばれています。複数人で合同会社を設立し経営を成功に導く為には、
- 信頼できるパートナーを役員=社員に選任し、会社を設立すること
- パートナーとの信頼関係を永続的に維持させること
が非常に重要です。