合同会社の定款に記載する一般的な内容について説明いたします。
商号とは会社名のことです。
商号を決めるにあたっては、以下のルールがあります。
事業目的とは、会社の事業内容のことです。
何をやっている会社なのかが判断できるよう
事業目的は自由に表現してよいのですが、あまりにも突飛だと登記申請書類を審査する法務局(登記官)によっては、登記無効とする場合があります。
次に
注)許認可申請時、取得しようとする許認可の業種が、会社の事業目的として会社定款に記載されていることが要件となるケースが多いです。
「許認可必要業種一覧」
注)全く関連性のない事業目的を意味も無くたくさん記載すると、事業内容が不明確になるばかりか、会社の方向性が疑われます。融資や会社取引の際には、良くない印象を与えかねませんので、注意してください。
本店所在地とは会社の住所のことです。
本店とする住所は、自宅の住所でも構いません。ただし、マンションなどの集合住宅では、住居以外の目的で部屋を使用することを禁じている場合もありますので、事前に管理組合の規定などを確認する必要があります。また、事務所を借りる場合は、契約時にオーナーに「会社の事務所」として使用する許可をもらっておきましょう。
本店住所は定款に記載する場合、通常は最小行政区画までしか記載しません。
例)
本店住所 東京都千代田区二番町5−2
定款記載住所 東京都千代田区
このように記載することで、同区画内で引っ越し(本店移転)した場合に、定款記載の本店住所を変更する必要がないからです。
(定款は変更をする際に費用と時間がかかります。)
事業年度とは、決算のための計算期間を言います。
会社は少なくとも1年に1回、決算をして決算書(貸借対照表、損益計算書など)を作成し、会社の営業成績および会社の財産の状況を明らかにする必要があります。株式会社はそれを公告しなければなりませんが、合同会社は公告は義務づけられていません。
事業年度は1年以内であれば期間を自由に決めることができ、開始時期と終了時期も自由に決めて結構です。
(決算作業は煩雑で時間もかかるため、事業年度は1年単位とする会社が多いです。)
事業年度の決め方で多いもの:
注意点)
設立日と決算月までの期間が短すぎないようにしましょう。
例えば事業年度を4月1日から3月31日までとしておいて、3月1日を株式会社設立日としてしまいますと、事業年度の終了する3月31日まで1ヶ月しかありませんが、それでも決算の手続きを行わなければならないのです。
会社設立直後は、やることが多く大変です。それに決算が重なりますと、非常に多忙になるでしょう。
また、消費税納税義務免除の特例を受ける場合には、事業年度をよく考えないと、金銭的にも損をします。
この特例は、資本金1,000万円未満の会社は設立から2期目までの事業年度は免税事業者となるものですが、先の例の場合ですと、最初の1期目が3月1日から3月31日までの1ヶ月しかありませんので、トータルで13か月しか消費税納税義務免除の特例が受けられません。
この場合、4月1日に株式会社を設立すれば2期(24ヶ月)フルにこの特例の恩恵が受けられます。
若林司法書士事務所では、会社設立をされたお客様を対象に、提携の会計事務所による税務の個別相談を無料で実施しております。決算についてのご相談も承ります。
新会社法では最低資本金規制が廃止されましたので、現在、資本金1円でも会社は設立可能です。しかし、資本金は会社の財産状況を示し、対外的に会社の信用度を表す指標になります。よって、金額は慎重に決めるべきでしょう。
資本金は
資本金は1000万円未満がおすすめ
小規模会社であれば、設立時点では資本金は1000万円未満にした方が節税できます。
1000万円を超えると、設立時の優遇措置である「消費税納税義務の免除」を受けることができなくなります。
資本金1000万円未満の会社は、最初の2期分、消費税の納税が免除されます。よって、第1期の事業年度をなるべく長く設定すると会社設立時の消費税納税義務免除の効果を最大限利用できることになります。
建設業の許認可申請をする場合は、資本金500万円以上が申請の条件になっていますので注意しましょう。
出資者とは出資する(資本金を払う)人のことです。
発起人とも言います。
合同会社の場合、出資者は「社員(有限責任社員)」と呼ばれます。この「社員」は従業員としての意味・立場ではなく、会社に出資した者のことを指す法律用語であり、株式会社で言うところの「株主」にあたります。
出資者の名前は定款に記載されますが、会社謄本には記載されません。
合同会社の出資者は、全員が業務執行権と代表権をもち、経営に参加します。つまり株式会社で言うところの代表取締役にあたります。
まとめ
合同会社に出資した人は、株式会社で言うと株主であり且つ経営者(代表取締役)であるということです。
株式会社や合同会社などの法人が出資をして、合同会社を設立することができます。また、法人と個人が一緒に出資をすることも可能です。
合同会社は出資者1名だけでも設立できます。
上限はありません。
資格制限もなく、未成年者や法人でも社員になれます(未成年者が社員になる場合は保護者の同意が必要です)。ただし、15歳未満は印鑑登録ができないため、たとえ保護者の同意が得られたとしても社員(出資者)にはなれません。
合同会社では出資者が複数いる場合、会社の経営者が複数いる状態で、全員に代表権もありますので、対外的に混乱を招く可能性があります。そこで、出資者の代表者を定款で定めておき、これを「代表社員」と呼びます。
また、「出資はするが経営はしたくない。」といった社員(出資者)のために、「業務を執行する社員=業務執行社員」と「業務を行わない社員=社員」とを分けることも出来ます。
・業務を執行する社員 → 「業務執行社員」
・業務を執行する社員の代表 → 「代表社員」
・業務を行わない社員 → 「社員」
なお、このように区別する場合は、定款に定めます。
定款で業務執行社員を定めた場合、業務執行社員だけで業務を執行することになりますが、その他の社員には業務執行社員の業務や、会社の財産の状況を調査する権利、いわば監視する権利が与えられます。
株式会社の場合は、出資した金額に応じて議決権が与えられますが、合同会社の場合は「どれだけ多額の出資をしても、一人一票の議決権」となります。
つまり、100万円を出資した人も500万円を出資した人も、社内の決議の際の力関係は同等であるということです。
会社にとっての重要事項に関する決議は「出資者全員の同意」が原則になりますし、会社の経営に関する意思決定は原則として「出資者全員の過半数の同意」により行うものとされています。(業務執行社員を選任している場合は、業務執行社員の過半数で決めることになります。)
よって、出資者2名の合同会社で意見が割れてしまうと、日常の業務執行に関して支障が出てきてしまいます。
合同会社は「人的会社」と呼ばれています。複数人で合同会社を設立し経営を成功に導く為には、
が非常に重要です。